グリー荒木英士さんが語る、海外でうなったAndroidのすごいところ | DigitalFan [デジタルファン]

最近、iPhoneよりAndroidのほうが性能がよくなった気がする――という話をネット関係者の間でちらほら耳にするようになった。Nexus5の発売やGoogle Nowの登場を皮切りに、「使いやすさ」が劇的にUPしているというのだ。

筆者はAndroidユーザーだ。しかしながら…。これは筆者の勝手なイメージだけれど、AndroidというとどこかiPhoneに押され気味な印象がある。

最新版Androidは具体的にどういった点がよくなったのだろう。そもそも、iPhoneにはないAndroidのよさって何…?

そこで、グリー株式会社取締役執行役員であり、数年前からAndroidのヘビーユーザーだという荒木英士さんにAndroidのすごいところとどのように活用しているのかなどを聞いてみた!

使い始めたのは3年前
Androidユーザーになったキッカケ
今回、お話を伺ったグリー株式会社の荒木英士さんのホーム画面。

荒木さんはもともとiPhoneユーザー。Androidを使い始めたキッカケは?

「僕がAndroid端末を使い始めたのは3年ほど前。アメリカ・サンフランシスコへ赴任したとき、現地の回線につながる端末がほしいと思って購入したのがキッカケでした。当時すでにiPhoneを使用していたので『じゃぁ、アメリカではAndroidにしよう』と思ったんです」(荒木英士さん、以下略)
使用してみてまず驚いたのは、特にカスタマイズを必要とせず、ほぼ初期設定のまま使用できるというところだったという。

「現在使用しているNexus5は、ほぼ初期設定の状態です。特にカスタマイズアプリを入れたりしていないのに、使っているとどんどん学習して、使いやすく進化していくイメージです」
そんな荒木さんがAndroidで重宝している機能とは?

よく使用するのは「Google Now」そして…?
Google Now

www.google.co.jp
Google Nowとは、Android 4.1以上のスマホやタブレット端末に対応している機能。位置情報や閲覧履歴などから情報を読み取り、目的地までの交通手段や天気などを知らせてくれる。Android 4.4以上であれば、デフォルトでホーム画面上に設置されている。

「Google Nowはよく使うツールであり、かつ驚かされることが多いツールでもあります。これは本当にいい。メールや閲覧履歴から自動的にデータを読み取り、時と場合に応じて必要なツールなどを提供してくれる…まさにGoogleの真骨頂ですね」
たとえば、荒木さんの帰宅時間(特に設定しているわけではなく、日々の行動から自動的に検出しているようだ)になると家までのナビを表示してくれたり、閲覧履歴などから興味を示しそうなニュースをピックアップ。さらに、海外出張へ行くと、現地の為替レートの変換ツールを表示したり、その周辺のバス停の時刻表なども知らせてくれるというのだ。

「先日、バンコクへ出張に行ったんです。空港に着いてからGoogle Nowを見たら、バンコクの天気と日本円・バーツの計算ツールなどが勝手に表示されていました。加えて、『グッドアフタヌーンをタイ語で言うとこうなるよ!』という情報まで表示されていたんです。さらに時間帯が変わると『グッドイブニングをタイ語で言うと…』という表示に変わるんですよね」

ナビなどの情報だけでなく、商品の出荷情報も通知してくれるという。ちなみに、上記写真はAmazonからの出荷情報が表示されているものだ。

「KAYAK(カヤック)やOrbitz(オービッツ)など、英語圏で有名な航空券購入サイトを利用すると、そのやりとりメールを元にフライト情報を表示してくれます。利用する便に変更があると『遅れています』『ゲート変更がありました』などの通知も届きます」
荒木さんがサンフランシスコにいた当時、Yelp(イェルプ)を利用してレストランを予約したところ、その確認メールを読み取り、予約時間前になると自動で「そろそろ時間だから出発してください。車で出発して、このルーツを通ってください」という通知も送られてきていたという。

しかし、筆者が使用しているGoogle Nowでは交通手段や予定のリマインドなどは表示されているものの、おすすめニュースや商品の出荷情報はみられない…。これはなぜ?

「日本ではまだ対応しているサービスが少ないようです。僕自身も、サンフランシスコにいたころに比べて、日本に帰ってきてからのほうが表示される情報はやはり減ったように感じました」
つまり「ぐるなび」でお店を予約しても、荒木さんが受け取ったような表示はされないということ。天気、交通手段、株価以外の情報を通知させる設定なども特にないようなので、こればかりは対応サービスが増えるのを待つしかないようだ。

電話帳
電話帳というと、新規情報を手打ちやコピペで入力し更新していくのがわりと手間。でも、最新のAndroid 4.4では、そんな手間すらOSが引き受けてくれる。

「Androidでは、FacebookやLinkedInなどでつながっている人の電話番号を自動で追加してくれるんです。なので、電話帳を管理する必要がないんですよね。僕の電話帳の中にも一度も電話をかけたことがない、FacebookなどのSNSでつながっている知り合いの番号が入っていたりします」
気になるお店の電話番号も、店名を伝えるだけでGoogle Maps経由ですぐに探し当ててきてくれる。

「電話帳の検索窓に『マクドナルド』などのワードを入れると、現在地から一番近い場所にあるマクドナルドの電話番号を表示してくれます。グルメサイトなどで調べて電話をかける…という手間さえ省くことができるんです」
Gmail、Google Calendar
多くの企業が利用しているGoogle Apps。しかし、当然のことながらログイン周りなどに何らかのセキュリティーを設定している企業がほとんどだ。荒木さんが勤めるグリーもその1つ。

「Google Appsを採用したことで、クラウドでメール管理ができるようになりました。外出先からもチェックできるので、とても便利なのです。しかし、セキュリティを強化するためにSSOを導入していたりするとiPhoneでメールやカレンダーを参照できない場合があるんです。その点、Androidなら多くの認証方式に対応していて、ブラウザではなくアプリ上で見れるようになって非常に便利です」
Google Calendarも同様。iPhoneのように新たにブラウザを立ち上げることなく、画面を横へフリックするだけでその日の予定などを確認できる!

Google Maps
Androidの魅力の1つとして「Google Maps」を挙げる人は多い。というのも、iOSに比べて見やすいのだ。

「これについてはiOSに比べて圧倒的によくできているといえますね。ナビとの連携など、細かいところまで行き届いているのがいいですね。サンフランシスコにいたころ、行きたい場所について『サンフランシスコ ◎番通り』と日本語で伝えてもちゃんとナビしてくれました。英語で伝えなくても対応してくれる(※)のは助かりますよね」
※端末が「日本語設定」になっている場合のみ対応。
情報共有アプリの選択肢が豊富

iPhoneの既存ブラウザで閲覧しているウェブページをほかのサイトで共有する場合、そのたび共有アプリを開かなければならないことがある。

しかし、Androidは既存ブラウザの場合は、LINEやEvernoteなど、共有先アプリを複数から選ぶことができる。かつ、新しいアプリをインストールすると、自動的に共有先として追加してくれるのだ。

「iPhoneに比べて、アプリ間の連携がとにかくいい。しかしiOSの場合は共有先としてFacebookやメールなど、OS既定のものしか使えません。その点、Androidはアプリを横断した時の連携がいいですね」
なぜiPhoneよりAndroid…?
冒頭でもお伝えしたとおり、筆者のなかでは勝手ながら「AndroidはiPhoneに押され気味」というイメージがある。荒木さんはなぜiPhoneよりAndroidを使い続けるようになったのだろう。

「そもそも、ビジネス用のスケジュールやメールを使うときに便利なんですよね。また、Google Nowやナビなど、日常生活をサポートするための機能はAndroidのほうが優れていると思っています。とにかく芸が細かいんです。それが、僕がAndroidを使い続けている理由ですね」
次のアクションを予想して動いてくれる
さて、出先から自宅へ帰ろう――。そんなとき、画面を開くだけで現在地から自宅までの交通手段を知らせてくれるのもうれしい。

「Googleに連結するさまざまな情報を読み取り、次に何をしようとしているのかを認識して、前倒しで必要なツールを提供してくれます。秘書のような感じで動いてくれるところも魅力ですね」
ただし、キャリアや使用するAndroid端末によって操作感などが多少変わるらしい。

「操作感についてはAndroid 4.4から明らかに良くなっているように感じます。ただ、日本のAndroid端末はキャリアによるカスタマイズの影響で本来の良さが引き出せていないものも混ざっている場合があります。最新版のAndroidを試すなら、Nexus5などの機種がいいかもしれません」

お話を伺った人

荒木英士さん
2005年、慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、複数のスタートアップを経て4人目の正社員としてグリー株式会社に入社。事業責任者兼エンジニアとして、PC向けGREE、モバイル事業、ソーシャルゲーム事業(「踊り子クリノッペ」等)、スマートフォン向けGREE等の新規事業の立ち上げを主導した後、2011年、米国子会社GREE International, Inc.の設立に参画。組織づくりやプロダクト開発、M&A等の幅広い業務を担当し、SVP, Social Gamesとしてグローバル市場向けモバイルゲーム事業の責任者を務める。2013年9月、グリー株式会社 取締役に就任した。現在愛用しているAndroid端末はNexus5。

グリー株式会社 (GREE, Inc.)

グリー株式会社は、ゲーム事業、コマース・ライフスタイル事業、コミュニティ・メディア事業、広告事業、投資事業を展開しており、「インターネットを通じて、世界をより良くする。」をミッションとした総合インターネット企業です。

corp.gree.net
(トップキャプチャ:荒木英士)
(その他キャプチャ&写真:nanapi編集部)
(ライター:福岡夏樹)

本記事は、2016年03月04日 公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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