音楽を手に入れる手段が主にストリーミングサービスやダウンロードから成り立つアメリカの音楽業界。CDショップは数少なくなっているようです。なかには日本のCDショップの多さにびっくりするアメリカ人もいるのだとか。

しかし、音楽のデジタル化が進む現在のアメリカでは、ライブでの収益が年々伸びているのです。

アメリカでのライブの売り上げは年々右肩上がりに

PwCの調査によると、アメリカの音楽産業は2015年から2020年にかけて売り上げが4.7%落ち込むだろうと予測しています。その一方で、ライブのチケットの売れ行きは5.2%伸びるとのこと。さらに、2015年のライブでの収益は、ストリーミングサービスのおよそ6倍になったのだそうです。

このグラフが示すとおり、アメリカでは年々ライブでの売り上げが増加しつつあります。音楽ストリーミングサービスの普及によって、月々定額しかも安価で音楽を聴けるようになったぶん、それまでCDを買うために使っていた金額が余ります。その結果、そのお金をライブに費やすことが可能になったといえます。

イギリスでも同様の現象が

音楽の産地といえばアメリカだけでなく、The BeatlesやDavid Bowieといったスーパースターを生みだしたイギリスも忘れてはなりません。

なんと、イギリスでもライブの収益は増えているのです。UK Musicの調査によると、2015年にはおよそ2770万人が音楽のイベントに参加。そのうち、2400万人はコンサートに、残りの370万人はフェスに行ったのだそうです。音楽イベントに参加した2770万人のうちの40%近くがライブを観に行くために遠くから来ていて、さらに驚くべきことに、イギリス以外の国からの参加者も増えているのだとか。

ライブは地域の経済を豊かにする役割も

また、ライブのために遠くから来るファンのおかげでイギリス経済が豊かになっていることをUK Musicは報じています。実際にそのようなファンがイギリス経済に37億ポンドもの利益を及ぼしているのだそう。

そのような結果に対して、UK MusicのCEOであるJo Dipple氏は「ライブに対する人々の渇望が経済をまわしている」と述べています。さらに、「これらはライブが地域や都市に与える経済的価値を間違いなく示している」とのこと。

来日する機会がなきにしもあらずといえども、筆者は本場イギリスでThe CureやDepeche Modeといった大好きなUKロックバンドを観たいです。きっとその際はライブだけでなく、お土産やグルメにお金をつぎ込むことは間違いなさそう。

ライブの価値はさらに高まるはず

ライブの価値は、CDやストリーミングサービスで聴くものと違って繰り返し同じものを聴けないところに宿っています。

もはやCDの売り上げで競争することが無意味になりつつある音楽産業。これからさらにライブなどの束の間の体験への需要が高まることでしょう。それゆえ、いかに盛りあがるライブをできるかどうかが大切。そのためには、もちろんアーティスト側の努力だけでなく、それと同じくらいライブを作り出すPAや照明スタッフの技量も必要になります。

ストリーミングを使って安くポータブルに多くの音楽に触れることができるようになり、多くのライブに足を運べるようになりました。音楽の在るべき姿は変わりつつあります。