はじめに

PCを自作する目的は人それぞれだと思いますが、メーカーの既製品とは違い、自作PCは自由に拡張できるメリットがあります。そのPCをカスタマイズできる自由度を大きく決定づけるのがマザーボードです。

この記事ではそれぞれの部位がどのような役割を持っているのか、交換を前提とした場合、どのような点に注意するべきかを経験を元にまとめてみました。

マザーボード選びでのチェックポイント

PCの要 CPU

マザーボードのCPUソケットには種類があります。IntelではLGA1155、LGA1156など、AMDではAM2、AM3などがあります。対応するCPUはマザーボードメーカーのサポートページに書かれていることが多いです。

同じソケット形状でも製造プロセスが違ったり、VRMに必要な電力量が違ったりしますので、交換する前に対応しているか必ず確認しましょう。

若干マニアックな方向けの情報ですが、並列処理を目的として、同じCPUを2基以上載せることができるマザーボードもあります。

標準で1CPU、追加で2CPUを前提としているCPUの場合、追加でVRMカードが必要になることもあります。マニュアル等に書かれていますので、該当する場合は確認しておきましょう。

手軽に拡張!USBポートを使う場合の注目点

ストレージからディスプレイカードまで、様々なUSB対応デバイスがありますが、安定性や電源容量の関係から、できればUSBハブを使わずにマザーボード本体に接続したいところです。

本体のピンを確認する

大抵のマザーボードにはケースのUSBポートへ接続するためのピンが用意されています。

画像のように上から見て2列で合計10本並んでいるのがUSB2.0用のピンです。(実際は画像のように逆挿し防止のため、10本-1で9本です。)

このようなピンのセットが多いマザーボードはUSBポートを多く持つことができると言えます。ちなみに画像に写っている9pin分でコネクタ2本分をまかなえます。

高速で大きな帯域幅を持つ PCI Express

PCI Expressスロットはいくつか種類がありますが、一般的なマザーボードに搭載されているのはx16(画像上)とx1(画像下)の2種類です。

他にもx8、x4とありますが、それぞれパーツを作っているとコスト高になるため、見た目はx16で、実際はx4の動作となっている場合が多いです。x1→x16と数字の通りの倍率で帯域幅が広がります。

PCI Expressスロットは主にグラフィックカードに使用されています。例えばnVidia社のSLIやAMD社のCrossFireXを組む場合、このレーン数が物理的に2つ以上必要になります。他にもストレージやUSB3.0を増設するインタフェースカードを増設するのにも使われています。

よくある落とし穴が、2本分x16のスロットが物理的にあるにも関わらず、2枚グラフィックカードを挿すとx8として動作するというものです。この点はマザーボードの仕様一覧のPCI Expressの欄をよく見てください。

最近のPCI ExpressのコントローラーはCPUに内包されており、トータルのバス数はCPU・マザーボード両方に依存します。

[コントローラーのバス数]、[マザーボードが扱えるバス数]の少ない方が適用されますので、十分注意してください。

IntelのCPUに載っているコントローラーが扱えるバス数を確認するには
ARK インテル® 製品の情報源でCPUを選び、[PCI Express 構成]欄を確認してください。

まだまだ現役 PCIスロット

若干レガシーなイメージですが、まだまだ現役です。主にサウンドカードやUSBのインタフェースカード、マニアックなところではシステムの専用カードや診断カードもPCIスロットを使うことがあります。

当然多い方がいいのですが、ボード上のスペースの関係や、PCI Expressに押され、若干追いやられ気味です。

ごく稀に古いシステムを使う場合は必須になることもあるため、全くないマザーボードを選ぶときは十分注意しましょう。

強化の王道 メモリスロット

マシンの強化と言って真っ先に思いつくのがメモリの増設ではないでしょうか。

現在主流のDDR3メモリもいくつか種類があり、スロットの切欠きなどの見た目だけでは判断できません。必ずメーカーサイトで対応する規格を確認しておきましょう。

32bit OSではシステムが3GB以上の容量を十分に使い切れないため、32bit OSの場合は少なめで良いと思います。

64bit OSの場合、メモリのスロット数と組み合わせがとても重要になります。画像の機種はデュアルチャネル対応で、メモリをロックする部分が白と黒に分かれています。

この機種の場合、白と黒のセットに同じ容量・規格の製品(通常は同じ製品)を挿すことで理論上2倍のスピードで動作します。厄介なのは「同じ規格」「同じ容量」という点です。仮に現状4GBだった構成を8GBにしたいとします。

スロット数が2の場合、
2GB×2枚→4GB
4GBメモリを2枚買い足し、
4GB×2枚→8GB

として、結果的に高い4GBのメモリを買って、2GBのメモリの使い道がなくなるという無駄が多い状態になります。

これが、スロット数4(2枚ずつのデュアルチャネル構成になります)の場合、
2GB×2枚 + 2GB×2枚→8GB
とすることができ、購入するメモリも安くなり、元のメモリも活用できます。

8GB→16GB→32GBなどでもほぼ同様の結果になります。スペースに余裕があれば、スロット数は4つ以上は欲しいところです。

ストレージ増設には絶対見逃せない SATAポート

L型のコネクタ形状が特徴的なSATAですが、リビジョンでいくつか種類があります。メーカーやボードごとの開発方針で置かれている個数が違います。基本的には多い方が良いでしょう。

リビジョン(SATA1.0/SATA2.x/SATA3.x)は下位互換がありますので、どのパーツをどこに繋いでもとりあえず動きます。

ただ、リビジョンの数字が大きいほど高速で安定していますので、高いリビジョンに対応している機器を優先して高いリビジョンのコネクタに接続すると効率が良くなります。

マザーボード上に載っているチップの数の関係で全てSATA3.0という物もあれば、2ポートだけSATA3.0で残りはSATA2.0という物もありますので、十分注意しましょう。(余談ですが、稀にチップとパーツの相性問題もあるので、うまく動かない場合、別のコントローラのコネクタに挿せば動く場合もあります)

お勧めはSSD>HDD>光学ドライブの順で優先する方法です。

実は重要 ファンコネクタ

ケースのエアフローを設計する上でとても大切な要素の一つがファンです。

マザーボードにはファンに電源を供給するピンがいくつか用意されています。画像のものはケースファン用の3ピン形状で、似たようなもので4ピンのCPUファン用のコネクタもあります。

熱いパーツとして有名なCPU、グラフィックカードはもとより、HDD、メモリ、マザーボード上のチップセット、電源周りなど、排熱しないといけない場所はたくさんあります。

もちろん、出鱈目に多く付ければ良いというわけではありませんが、足りないよりは余った方がマシです。少なくとも必要数に足りているか、数えてみてください。

足りない場合は別途ファンコントローラや電源から出ているペリフェラル4pinから無理やり変換するアダプタも発売されていますが、あまりスマートな方法ではありません。

おわりに

マザーボードの拡張性は実質的にサイズとのせめぎあいです。規格内のスペースの関係で万能なマザーボードは数が少ない上に価格も高いのが現状です。

自分の組むPCに向いたパーツを正しく組み込めるよう、マザーボードは慎重に選びましょう。

(image by 著者)