Yahoo! JAPANが主催しているイベント「HACK U」をご存知だろうか。このイベントは学生を対象に開催されるもので、プログラミングやデザインの技術にょって生み出された作品を披露し、最優秀賞を決めるというもの。賞やエンターテインメントだけが目的ではなく、これから芽が出るであろう技術者の卵を育む意図もある。

仙台や大阪、福岡、名古屋など、全国規模で開催されているのだが、2016年9月10日に東京大会が開催され、画期的なアイデア作品とともに、多くの学生たちが参加。ヤフー執行役員の2名を含む3人が審査員となり、厳しい目で作品を審査した。

プレゼンタイムで作品アピール

「HACK U 東京大会」は3部構成となっており、まずはプレゼンタイムで作品をアピール。そのあとに審査タイムがあり、最後に表彰式となる。

学生たちにとって、いちばん緊張するシーンがプレゼンだろう。審査員だけでなく、大会に参加した学生たちがじっとプレゼンに注目。さらに「ニコニコ生放送」で全世界にも配信されているのだからね緊張するのも無理はない。また180秒でプレゼンをしなくてはならず、作品のポイントを伝えながら、あせっている学生もいた。

審査タイムで交流も

プレゼンが終わると、実際に作品を体験したり、触れたりすることができる審査タイムが始まった。審査員、学生、そしてニコニコ生放送のレポーター(ヤフースタッフ)たちが作品を見てまわり、各作品をチェック。

今回の大会では、料理系のアプリが多い印象があった。たとえばチーム埼玉大学ワカメ教団の、自動メニュー生成アプリ「CookBad」(クックバッド)。このアプリは、冷蔵庫にある残った食材をインプットすれば、自動的にその食材を使用した料理を提案し、レシピも表示してくれるというもの。もし実用化されれば、かなり便利なアプリとなりそうだ。

特に注目を集めていたのが、スマホのイヤフォンジャックにモジュールを挿すことで、近くの飲食店を自動的に教えてくれるアプリ「GO飯」。チームUEC InSilicoが開発したもので、寿司を食べたいときは寿司型のモジュール、ラーメンが食べたいときはラーメン型のモジュールをスマホに挿すというユニークさがウケていた。

また、津田塾大学の女子大生チームが3チームも参加し、チームblue willowは、パパや彼氏にネットショップの商品をおねだりすることも可能な、買い物忘れ防止アプリ「バイリス」などを披露。チームHACK Umekoは、天気や気分などで自分好みのスムージーを自動的に教えてくれるアプリ「ふるふるMySmoothie」を披露し、どちらも大きな注目を集めていた。

VRの可能性を秘めた作品

いま流行りつつあるVR(ヴァーチャルリアリティ)への可能性を感じさせる作品もあった。そのひとつが、チームTokudai Transfersのゲーム「feelin-G」だ。ソフトな表現で「G」としているが、ゴキブリの視点で部屋をうろつくというゲームである。ゴキブリの視点なので床や壁に張り付いたような低い視点になり、プレイヤーはゴキブリとなってウロウロする。

開発期間が短いためポリゴンやテクスチャーのクオリティは高いとは言えないが、驚かされたのがゴキブリの動きである。皆さんも家にゴキブリが出没して驚いたことはあると思うが、まさに生きた本物のゴキブリのような動きをするのである! 少し動いては止まり、今度は長く走って止まり、ずっと静止。「どういう動きをするかわからない不気味さ」がゴキブリの恐ろしいポイントなのだが、しっかりとその点を再現しているのである。

ゴキブリが探索する部屋のなかには女性がいて、踏みつぶされる恐怖のなか移動する。ちなみに、女性のスカートのなかを覗くことも可能だ。

「feelin-G」にはふたつのモードがあり、ゴキブリの視点を自動で楽しむものと、自分でゴキブリを操作するモード。現時点ではVRのヘッドマウントディスプレイには対応していないが、将来的にその可能性はあるようである。ちなみに作者の家にはゴキブリは出たことがないと話していた。ではどうやって、このゴキブリの動きを表現できたのだろうか。謎である。

いよいよ表彰式

そしていよいよ表彰式。最優秀賞を獲得したのは、自動的にオススメの飲食店を教えてくれるアプリ「GO飯」を開発したチームUEC InSilico。スマホアプリの開発だけにとどまらず、イヤフォンジャックにモジュールを挿す遊び心と将来性を評価されたようだ。

プログラムができても、アイデアがあっても、それを形にすることは容易ではない。たとえ形にできたとしてもツメが甘いかもしれない。

しかし「HACK U」に参加した学生たちは全員、クリエイターとして0のポジションから1に進んだのは間違いない事実。そしてその1は、10にも100にも、10000にもなりえるのだ。

可能性を秘めた作品をひっさげ、「HACK U」に挑んできたすべての学生に敬意を表したい。またみんなと会える"ミライ"が楽しみだ!

(image by 筆者)