戦艦大和といえば日本史上最大の戦艦だ。第二次世界大戦によって残念ながら沈没してしまったが、そのスケールの大きさにロマンを感じる人は今なお多く、これまでにも数々の映画作品やテレビドラマなども制作されてきた。そんな大和が、この冬に株式会社神田技研の手によって制作された「VR戦艦大和」として蘇った。

こちらではVR空間を使用して巨大な大和を実物大で復元することに成功。実際に大和に乗艦し、乗組員と同じ視点で動いている大和の迫力を体感できるというのだ。

記念館「三笠」内で竣工イベントを開催!

「VR戦艦大和」の完成を記念し、竣工記念式典と名付けた体験会が開催されたのだが、その会場に選ばれたのはなんと神奈川県横須賀市の記念艦・三笠である。三笠もかつて実際に使用されていた軍艦のひとつであり、現在は竣工当時の姿を復元して三笠公園内に保存されているのだ。

現実世界に復元された三笠の艦内で、VR世界に復元された大和に体験乗艦するという、軍艦マニアならずとも興奮してしまいそうな、なんともオツなシチュエーションである。記者は三笠の艦内に足を踏み入れるのも初めての機会であったが、スケールの大きさに圧倒されてしまった。20世紀初頭にこれだけ立派な戦艦を造る技術があったとは驚きである。

そして三笠艦内をひと通り見学した後は、いよいよ「VR戦艦大和」の竣工記念式典が行われている部屋へと向かった。

幅広い世代の大和ファンが集結!

会場となっている部屋には多くのVR体験機が用意されているのにもかかわらず、多くの人が列に並ぶ盛況ぶり。特徴的だったのは他の一般的なVRゲームなどの体験会と比べ、ご年配の男性も多く見かけたことだろう。

VRゲームファンというよりも、戦艦大和に魅せられた軍艦マニアが多く来場したのだと思われる。伝説の軍艦・大和に乗艦体験できるということは、軍艦マニアにとっては大変なことなのだろう。期待度の高さがひしひしと感じられた。

記者も体験してみた。腰を抜かすほどのスケール感!

まずは記者も実際に「VR戦艦大和」を体験させていただいたが、そのスケールの大きさに腰を抜かしてしまいそうになってしまった。

会場が三笠艦内というのがまた素晴らしく、復元された軍艦の中を実際に歩いた後に体験すると、相乗効果で「VR戦艦大和」のスケール感や迫力、リアルさより強調されて感じられるのだ!

今回は体験用のデモ版ということで、大和艦内のいくつかの場所でのVR体験ができるというものなのだが、特に細部へのこだわりが感じられた。大和と三笠という違いはあるが、操舵室や廊下などは「さっき歩いてきた場所だ!」と錯覚してしまいそうなほどのリアルさがある。

また、大和に乗り込むシーンでは大和の巨大さを特に感じられ、思わず空を見上げて呆然としてしまった。これだけ巨大な戦艦・大和を現実世界で再現するのは難しいだろう。VRだからこそ実現できた大和の復元なのだ。

元乗組員も再現度の高さを絶賛!

体験を終え、制作会社である株式会社神田技研の代表・西野さんに話をお伺いしてみると、やはり西野さんの軍艦好きが高じてVR戦艦大和の制作に至ったとのこと。

そして、かつて大和の乗組員だった方ともコンタクトを取って「VR戦艦大和」のテストプレーをしていただき、思い出話に花を咲かせながらその完成度を絶賛されたそうだ。

こちらの元乗組員の都竹さんは現在94歳。大和のリアルを知る人に体験してもらい、お墨付きを得るというのは大変なことである。伝説の戦艦大和は「VR戦艦大和」という形で見事に復元できたと断言してもいいだろう。

都竹さんの「ここで撃たれると全員死んじゃうからさ爆風で」というコメントには衝撃を受けた。VRの世界の中で、都竹さんはリアルな戦艦大和と重ね合わせているのだ。そしてこのVRがリアルであることが理解できるコメントだ。

多くの来場者が「VR戦艦大和」に感動!

その後も会場では多くの来場者が「VR戦艦大和」を体験し、感動を覚えて会場をあとにする様子が多く見受けられた。

特に、普段はVRに無縁であろうご高齢の方が目を潤ませている姿は、こちらも胸にグッと響くものがあった。制作者の熱量がユーザーまでしっかりと届いているのである。

VRの新境地になり得る存在

制作会社である神田技研では、今後の展開として他の軍艦や城の復元を考えているそうだ。実際に「VR戦艦大和」を体験してみて、消失してしまったものを忠実に復元することは、後世に記録を残す意味でも非常に有意義であると感じられた。

博物館での展示や、学校の教材にもなり得るだろう。ゲーム以外での展開が課題と言われるVRであるが、「VR戦艦大和」のようなものはVRの新境地を切り開く存在になり得るはずだ。

実際の大和の竣工日に発売開始

この「VR戦艦大和」は12月16日にOculus Storeにてリリースとなるが、発売日の12月16日は実際の戦艦大和の竣工日でもあるというのだからそのこだわりには驚きだ。軍艦マニアならずとも、ぜひ一度は体験してほしい一本である。

株式会社神田技研/VR戦艦大和特設サイト

神田技研は、オキュラスリフトなどのヘッドマウントディスプレイを用いて、ヴァーチャルリアリティ戦艦大和復元計画を進めています。

www.kanda-giken.co.jp

(image by 筆者)