VR元年と位置付けられた2016年。実際にVRは今年一年で大きく認知され、PSVRをきっかけに多くの人が興味を持ったのは間違いないだろう。

そんなVRのこれからを自らの手で切り拓こうとするリーダーたちが一堂に会し、熱いトークを交えるイベント「Japan VR Summit 2」が先日開催された。Japan VR Summitの第1回が開催されたのは今年の5月。そのわずか半年後に第2回が開催されたという点だけを切り取ってみても、VR業界が今どれだけ熱いのかが伝わってくる。

VRのこれからを創るリーダーたちの想いを知る

Japan VR Summit 2では、5つのテーマに分かれて、それぞれのテーマにふさわしいメンバーによるトークセッションが開催された。今回のテーマは以下のとおりである。

  • Session 1 : VRトッププレイヤーが描く2020年のビジョン
  • Session 2 : 世界最大? 中国VR市場のポテンシャル
  • Session 3 : 先駆者から学ぶ 〜VRアトラクション編〜
  • Session 4 : VR/ARはゲーム/エンタメから各産業へ花開く
  • Session 5 : 投資家が展望するVRの収益化

どのテーマも非常に興味深い内容となっていたのだが、この日集まった約550人の来場者が最も盛り上がったトークテーマはSession 4の「VR/ARはゲーム/エンタメから各産業へ花開く」だろう。このセッションには今年の流行語大賞候補にもノミネートされたほどの大ブームを巻き起こした「ポケモンGO」のディレクターである野村達雄氏が登壇するからだ。

ARとGPSを駆使した斬新なゲームでの大成功を収めた野村氏が描く次なるヴィジョンはいったいどのようなものなのだろうか。まずはそちらのトークセッションの模様を紹介しよう。

豪華すぎるメンバーによるトークセッション

Session 4「VR/ARはゲーム/エンタメから各産業へ花開く」のトークセッションのパネリストは4名。左からユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社の日本担当ディレクター・大前広樹氏、Little Star Media, Inc.のCEOであるTony Mugavero氏、Niantic Inc.の野村達雄氏、株式会社コロプラ代表取締役・馬場功淳氏というあまりにも豪華なメンバーである。

4人がステージに登壇すると、会場は万雷の拍手が鳴り響き、開始前からまるでライブハウスのような熱気に包まれた。

そしてモデレーターを務めたMogura VRの編集長である久保田瞬氏の進行によってトークセッションが進んでいくが、やはり序盤の話題はポケモンGOに集中する。特にVRはノンエンタメ分野にかかわる取り組みが課題とされているが、ポケモンGOは間接的に様々な分野にプラスの影響を及ぼすという成果を得ているというのだ。

例えば、病院で子供の患者にポケモンGOをプレイさせ、自閉症の子供が外に出るきっかけとなったり、経営が傾いていた店舗がポケストップになったことをきっかけに、ルアーモジュールを駆使して集客を試み大成功したという事例の報告が集まっているというのである。

その他にも、最近では東北地方でレアポケモンの「ラプラス」を出現させて地域復興にも一役買ったのは記憶に新しい。ポケモンGOというARを駆使した新しいゲームエンタメがわずか半年でそれだけの結果を出したとあれば、VRの今後にも期待を抱きたくなるのは当然というものだろう。

すでにVRの未来は動き始めている!

トークセッションはその後ARや360度動画、3DCGの未来についてのディスカッションや、海外ではすでにそれらのコンテンツに対してすでに実験的な目では見ておらず、本格的な投資を行い始めているという話題で大いに盛り上がった。

そして現時点でのVR業界の最先端では、例えば360度の野球動画を見ているビューアーが試合のどの部分を見ていて、球場のどの広告がよく見られているのかをトラッキングしてデータ化したり、NASAが火星に持ち運ぶ物を実際に作る前にVR空間で検証したり、VR動画を見ている人の心臓の鼓動をヘッドセットを介して調べたりする技術が確立されているそうだ。

そのような技術がどのように洗練され、どのような形になって我々の元に届くようになるのだろうか。想像するだけでもワクワクしてしまう。

日本ではVRの導入という点では一歩遅れてしまっているものの、既存の大きなメディアがVRを含む新しいコンテンツに興味を持っているとのこと。VR元年と呼ばれた2016年はあくまでスタートの年。翌年以降さらに盛り上がりを見せることは間違いなさそうである。

こうして1時間15分に及ぶトークセッションは幕を閉じた。このディスカッションを目の当たりにできただけでも、Japan VR Summit 2に参加した意義があるというものだろう。

VR体験ブースも大盛況!

Japan VR Summit 2ではトークセッションの他にも、来場者を楽しませるVRたくさんブースが多数出展されていた。こちらもまさにVRの未来を感じられる貴重な体験ができる場所。トークセッションの合間を縫って多くの来場者が集まる盛況ぶりであった。

体験ブースの多くは整理券を配布し、体験者一人ひとりがプレイ時間をしっかり確保できるような体制を取っていたが、比較的早い段階でほとんどのブースが整理券を配布し終えるという状況。やはりVRの未来に期待して会場に足を運んでいるからこそ、実際に最先端のVRに触れたいと考えるのは必然なのである。

多くのブースの中でも特に人気を集めていたのは、株式会社PDトウキョウのCIRCLE of SAVIORSというアクションゲームだ。

VR世界の中でモンスターと戦うというシステム自体は正直目新しいものではない。しかしこのゲームではVR世界に没頭するプレイヤーをカメラで撮影し、VR映像と合成したものをモニタでリアルタイム配信しているのである。

映像をモニタ越しに見ている人たちは、プレイヤーの動きに合わせて大きな歓声をあげ、体験会場は常に盛り上がりを見せていた。このシステムを活かしたゲームを自宅で導入するのは現実的ではないかもしれないが、アミューズメントパークやゲームセンターなどで導入されれば大きな注目を集めることは間違いないはずだ。

VRゲーム環境に耐えられるノートPC

体験ブースではVRのソフトだけでなく周辺機器の展示も行われていた。その中で記者も体験させていただいたのが株式会社マウスコンピューターによるノートPCだ。こちらはなんとノートPCでありながらVRゲームの動作にも耐えられる超高スペックとなっているのである。

VRロボットゲームの「STEEL COMBAT」をこのノートPCを使用した環境でプレイさせてもらったが、何ひとつ問題なくプレイを楽しむことができた。ノートPC自体はさすがにズッシリと重たい感じは否めないが、こちらを使って電車移動中などでも気軽にVRゲームを楽しめるようにもなるかもしれない。周辺機器のこれからにも大いに期待したくなるPCであった。

VRの未来を垣間見ることができた!

他にも斬新なVRの展示が行われていたJapan VR Summit 2。トークセッションに耳を傾け、最新鋭のVRを体験していると、まるでこれから先に訪れる未来を先取りしてしまったかのような感覚を味わえた。

2017年にはいったいどんなVRが我々を楽しませてくれるのだろうか。具体的にはわからないが、VRの未来はとにかく明るい。それだけは確信できる、そんな充実したイベントであった。

もしかすると数年後には、「ポケモンGO」がVR化した時代がやってくるかもしれない。

(image by 筆者)