先日、6年ぶりの新作「ファイナルファンタジーXV」が発売となって話題となったが、ファイナルファンタジーに限らずゲームの開発には相当な時間を要することは皆さんもご存知だろう。しかし、そんな常識を木端微塵にぶち壊す企画「VR GameJam in Japan 2016 Autumn」なるイベントが開催されたのでその様子をご紹介したい。

たった30時間でゲームを1本開発する!

VR GameJam in Japanではたった30時間で、なおかつ見ず知らずのメンバーとその場でチームを作ってVRゲームを1本開発するという、開発に携わっていない者でも思わず「それは無茶だろ!」と突っ込んでしまいたくなるような企画が行われる。

しかし、年に1回のペースで開催されてきたこのイベントは今回ですでに4回目。しかも今回は全国7会場での同時開催だ。2013年に開催された第1回に参加したメンバーには現在VR業界で名を轟かせている人が多く、まさにVRゲームの未来を創るイベントであり、VRゲーム作家への登竜門だと言っても過言ではないのだ。

非常に過酷なイベント

もちろん30時間でゲームを開発するというのは並大抵のことではない。しかも各開発チームは2名から3名で構成されるため、全員がフルパワーで取り組まなければ、ゲーム開発のフローを30時間に短縮させることなどできないのだ。

イベントは2日間に渡って開催されたが、夜中も会場に残り不眠不休で開発を続けた方も多く、会場には大量のエナジードリンクの空き缶が捨てられていた。

そしてタイムリミットが迫ってくると、各チームともに最後の力を振り絞ってテストプレーを繰り返し始めた。いったいこんな環境の中でどのようなVRゲームが創られていくのだろうか。

8チームによる作品発表会

30時間に及ぶ開発を終えたメンバーはまず代表の常名さんの音頭で盛大に乾杯し、それぞれが労をねぎらいあった。参加者全員からやり切った感が漂っているのが非常に印象的である。

続いていよいよ作られた作品の発表会と試遊会へとなだれ込む。今回のVR GameJam in Japanの東京会場で結成されたチームは8チーム。

順番に開発したゲームのスクリーンショットや、プレイムービーを使って作品の紹介を行っていくのだが、どのチームも30時間で仕上げたとは思えないほどのクオリティの作品に仕上げていたので衝撃を受けた。簡単に全作品の紹介をしたいと思う。

アクションシューティング

最初に発表された作品はかわいいフリー素材集の「いらすとや」の2Dイラストのみを使用したVRアクションシューティングゲーム。メルヘンチックなイラストが独特の世界観を形成し、2Dイラストでありながらも奥行きをしっかりと駆使して立体感を作り出していた。

立体迷路

続いてプログラマ2名によって開発された「キューブ」の立体迷路作品。コントローラーを使って壁をよじ登り、迷路内にある得点パネルをタッチしながらゴールを目指し、得点を競うゲームである。

実際に壁にのぼるという操作感を忠実に再現しつつ、短時間で得点を競い合うというゲーム自体の完成度も非常に高く、この時点でもすでに得点を競って仲間と盛り上がれるレベルに達していた。

立体間違い探し

次に紹介されたのはVR空間を使った立体間違い探しゲーム。間違い探しといえば平面で行われる定番のゲームであるが、VR化されると難易度が一気に上がって非常に面白い。360度全体と天地の状態を記憶し、次の画面で何が変わったのかをチェックする過程は大人でも十二分に楽しめる。

無重力浮遊と自由落下

VRゲームは酔いやすいという難点があるが、あえて酔いそうな「VR空間での無重力浮遊と自由落下」テーマを題材にしつつも、酔わないような工夫を施すことでどれだけ酔いを抑えられるかを追求したという研究的な作品も発表された。記者も実際に体験もさせていただいたが、酔いを感じることは一切なく、爽快な操作感が実装されていた。

タイピング

続いて発表されたのはVR空間を使ったタイピングゲーム。打ち込むワードはあらかじめ用意せず、Twitterから特定のハッシュタグをつけたツイートをタイプする課題として読み込むため、プレイヤー以外も間接的にゲームに参加することができるという設定も面白い。

クイズバトル

VR空間の中で2名のプレイヤーがお互いの回答を推測しあう「VRクイズバトルゲーム」もシンプルながら非常に汎用性の高いゲームであった。クイズの内容はどんなにシンプルでも、相手の回答を推測するという時点で心理戦に発展するうえに、VR空間を使った演出も共有できるのである。

シューティング

次に発表されたのはクレー射撃のシューティングゲーム。手を放すと銃を落としてしまったり、弾を2発発射した後には装填の操作をしなければならない点などリアルな動作を再現しつつ、射撃に成功した時の爽快感も追求したというシンプルながら気持ちの良いVRゲームだ。

戦車アクション

そして最後は専門学生によって開発された戦車アクションゲームなのだが、開発時間内に予期せぬトラブルが頻発。それでもどうにかゲームとしては完成させたというのだから素晴らしい。

どの作品も完成度が非常に高い!

こうして8チームすべての作品がひと通り発表されたのだが、どのVRゲームにも個性があり、完成度がとにかく高い。

そのままの流れで開催された試遊会で、記者もすべてのVRゲームを体験させていただいたが、どれも純粋にゲームとして楽しめるのである。それぞれもっと盛り込みたかった要素やブラッシュアップしたい要素はあるようだったが、立派にVRゲームとして成立しているのだ。

個人的には「キューブ」「VR間違い探し」の2本は特に楽しめたが、イベント参加者もそれぞれがゲームを体験し合ってそれぞれが好きな作品を見つけたり、意見を交換し合ったり、非常に貴重な場となっていたようである。

VRの未来にさらなる期待を抱きたくなるイベント

VR GameJam in Japanの参加者には今後もVR開発に携わっていくという方も多いことだろう。ゲームを開発するにあたり、30時間で1本仕上げたという経験は非常に大きな財産になるに違いない。

今回のイベント参加者がいずれヒット作品を創り出す。そんな未来を期待したくなるような、非常に熱いイベントであった。

(image by 筆者)