2015年に残念ながら運行廃止となってしまった寝台特急列車「北斗星」。上野駅から札幌駅間を結んでいた北斗星は日本初の豪華寝台特急とも呼ばれ、食堂車やロビーカー、寝台特急などが連結されていた。LCCや北海道新幹線が無かった頃は、北斗星に乗って北海道まで行くことが鉄道ファンにとって最高のロマンであり、贅沢な時間だったのである。

レトロに浸る喜びは、今未来に生きている私達だからこそ味わえる宝なのかもしれない。

宿泊施設になって復活!

そんな北斗星が運行廃止となってから約1年。なんと、北斗星を宿泊施設として再現するというプロジェクトが動き出し、12月15日に「トレインホステル北斗星」がJR馬喰町駅前にオープンとなったのだ。

オープン初日から北斗星ファンが多く集まることが予想されたが、記者はどうにか予約を取ることに成功。トレインホステル北斗星に実際に宿泊してきた様子をレポートしたい。

フロントに入った瞬間から気分が高まる

入口のドアを開けて施設内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは受付の案内板だ。

実際に北斗星の内部でも使われていた字体で記されたレトロな看板は雰囲気が抜群。この時点で普通のホテルではなく、特別な空間にやってきたという気分になれる。

このように、トレインホステル北斗星には細かい部分にまでこだわった部分が非常に多い。

チェックイン時に名前などを記入するシートはまるで切符を購入する際の申込書のようなデザインだ。ホテルに宿泊するのに「前泊地」「行先地」などという項目は当然必要ない。ファンを喜ばせる遊び心も的確にツボを突いてくるのだ。

できる限り忠実に再現した施設内

チェックインを済ませ、早速施設の中へと足を踏み入れる。まずは寝台列車を模したゲストルームへと向かってみよう。

寝室の中はまさに北斗星の寝台列車そのもの。細い通路沿いにたくさんの寝台が並んでいる。実際の車内で寝台が並んでいたのは通路の片側だけだが、それでも十分に雰囲気を再現できていると言えるだろう。

この青いシートに見覚えがあるという人もいるのではないだろうか。寝台で使用されているシートはなんと北斗星で実際に使用されていたものをそのまま再利用しているのだ。そのため、一般的なベッドや布団よりもかなり狭くなっていて、正直なところ寝心地はあまり良くはない(笑)。

しかし寝台列車に寝心地の良さを求めるのはお門違いというものだろう。ここは寝台特急北斗星。この不自由さが懐かしく、ファンの心をくすぐるのである。

清潔で便利な設備

続いて施設6階のシャワー&ランドリールームへと足を運んでみる。こちらには男女それぞれ5部屋ずつシャワールームがあり、洗濯機や乾燥機も多く用意されていた。北斗星を懐かしむだけでなく、長期滞在の拠点としても活用できるのも嬉しい。

こちらのフロアはオープン初日による部分が大きいのだろうが、全体的に清潔感が素晴らしい。この先どれだけこのクオリティを維持できるかどうかで、今後利用する客層が変わりそうな印象を受けた。

食堂車の雰囲気そのままのラウンジ

そして最後は2階のラウンジスペース「グランシャリオ(Grand Chariot)」だ。

北斗星の食堂車の名前がそのまま冠されたこちらのスペースは、実際に食堂車で使用されていたテーブルやイス、電球など、相当数のパーツをそのまま再利用して作られているのである。

オープン初日の夜22時。ラウンジには多くの北斗星ファンが集まり、購入してきた駅弁を夕食として食べたり、思い出話に花を咲かせたり、各人が持つ北斗星への熱い思いがビシビシと伝わってくる。

こちらのテーブル、イス、電気スタンドはすべて実際に使用されていたもの。シャワーを浴びてからイスに腰かけ、ゆっくりとビールでも飲めば、まさに北斗星車内にトリップしたような気分になれる。

自分で調理できる器具が揃っている

ラウンジスペース・グランシャリオは食堂車を再現しているとはいえ、料理が用意されているわけではなく、レストランなどの施設もない。自分自身で食べ物を持ち込むか、用意されている器具を使って調理をすることになるのだ。

炊飯器やIHコンロ、冷蔵庫、電子レンジなどが揃っているため、食材さえ用意すればどんな料理でも作ることができる。こちらも長期滞在を考えている方や食費を節約したい方に優しい仕様だと言えるだろう。

料理は一切用意されていないが、対照的にドリンクメニューは豊富に用意されている。しかも北海道限定のビールや地酒、岩手県の地ビールなど、北斗星が実際に運行していたルートで販売されているご当地ドリンクが多いのも粋な気配りだ。

宿泊可能な博物館のような施設

実際にトレインホステル北斗星で1泊してみて最も印象的だったのは、想像していたよりも遥かに忠実に寝台特急北斗星が再現され、実際に使用されていたパーツも相当数再利用されていた点だろう。

たとえ宿泊ができなくとも博物館として楽しめそうなレベルであり、まるで宿泊可能な博物館のような施設である。

JR馬喰町駅に直結しているという立地や、1泊2,500円という価格も素晴らしい。鉄道オタクの聖地として、鉄道旅行での東京滞在の拠点として、ぜひ多くの人に利用してみていただきたい。

施設情報

トレインホステル北斗星
- 住所:東京都中央区日本橋馬喰町1-10-12
- 料金:1泊 2,500円〜(季節などにより変動あり)
- 宿泊人数:78ベッド

トレインホステル北斗星|「寝台列車 北斗星」をイメージした宿泊施設

トレインホステル北斗星は「寝台列車 北斗星」をイメージした宿泊施設です。東京駅から5分、 JR馬喰町駅直結、便利でリーズナブルなホステルです。

trainhostelhokutosei.com

(image by 筆者)