2016年9月16〜18日に開催された「東京ゲームショウ2016」はゲームの祭典だが、今回は非常に興味深い「ゲームとはちょっと違ったコンテンツ」も展示されており、実際に体験することができた。そのひとつが、東京大学高齢社会総合研究機構館研究室と慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の共同プロジェクト「Embodied Media Project」、そして「テレイグジスタンス」である。

VRではなくAR(拡張現実)?

このプロジェクトが開発したVRシステム「テレイグジスタンス」が展示され、ゲームではないものの大きなを集め、体験しようと多くの人たちが行列を作った。厳密にいえば、これはVRだけでなく、AR(拡張現実)やMR(複合現実)の要素も含まれているといえる。

ロボットの視点を体験できる!

そもそも「テレイグジスタンス」とはどんなシステムなのか? ユーザーがVRヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」(オキュラスリフト)を装着すると、ユーザーの隣に置かれているロボット「TORSO」の視点になる。そう、ロボットに装着されたカメラの視点になるのだ。

ロボットも同じように動く

単にロボットの視点になるだけでも面白いが、取り立てて驚くことではない。しかしガッカリするのはまだ早い。「テレイグジスタンス」の魅力はその先にある。なんと、ユーザーが頭を動かすと、ロボットも同じように頭を動かすのだ。つまり、ユーザーの視点が変わるだけでなく、ユーザーに反応してロボットも同じように動くのである。

現在は首から上の動作だけにとどまっているが、この技術を応用すれば全身の動きをカバーし、人間とほぼ同じ動きができるロボットを開発することも可能だろう。そして、本当に自分の分身を作りあげることも可能かもしれない。

細かい作業をすることができる?

つまり、自分の分身のようにロボットを操作することができるのだ。この技術を駆使すれば、東京にいながら北海道のおばあちゃんの家に置いてきたロボットを動かし、おばあちゃんの家にいるかのような体験ができるかもしれない。

人間が入って行けないような、危険な場所にロボットを行かせ、まるで自分がそこにいるかのように細かい作業をすることができるかもしれない。

ほぼタイムラグなしで動作

実際に「テレイグジスタンス」を見ればわかるが、頭の向きを変えるだけでなく、細かい角度などもほぼタイムラグなしでロボットが再現。

ロボットの反応が鈍かったり、思うように動いてくれなかったり、そういう欠点があるのではないかと思っていたが、「テレイグジスタンス」を見る限り、まったくそそんな不安を感じさせなかった。まだVR元年だというのに、すでに凄まじく未来を感じさせるシステムが構築されているのだ。

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VRはエンタメの枠にとどまらない存在

「東京ゲームショウ2016」には多くのVRコンテンツやハードが展示され、体験することができた。どれも今までにない新時代のコンテンツとあって、非常に将来性を感じさせるものばかりだった。

そこで気が付いたのが、VRコンテンツはゲームとしても実用としても、どちらの未来も感じさせる「エンターテインメントの枠だけにとどまらない存在」であるということ。今後は「テレイグジスタンス」のような人類を進化させるシステムが、数多く誕生するに違いない。

(image by 筆者)