株式会社キッズプレートが主催する「HACK THE FUTURE」が10月25日に淡路町のワテラスコモンにて行われた。テクノロジー分野の最前線で活躍する優れた技術者たちが一堂に会し、これからの未来をどう創っていきたいか、ハード面とソフト面から語ってもらうイベントだ。

筆者は、第二部のAR&VR Trackに潜入。VRやARに関する率直な疑問をぶつける聴講者たちと、3人の世界的に活躍する技術者とのトークセッションが行われていた。

NASAが選んだHoloLends

ヴィクター・リュオ氏。NASAシニアテクニカルリードでNASAの他センターや業界パートナーと協働して新たな没入型可視化技術の開発を担当している。講談テーマは「NASAが選んだHoloLends」。

VR X ARTから見えてくる人のつながり

藤井直敬氏。2015年よりVRコンソーシアム代表理事を務めている医学博士だ。主要研究テーマは、適応知性および社会的脳機能解明。講談テーマは「VR X ARTから見えてくる人のつながり」。

VR/ARが医療技術と人類の進化を加速する

杉本真樹氏。専門は外科医で、。医用画像診断・手術支援システム・3Dプリンターによる生体質感臓器造形など医療や工学分野での研究を行っている。講談テーマは「生体医療情報によるVR/ARが医療技術と人類の進化を加速する」。

聴講者たちからの質問セッション

ヴィクター氏には「NASAでホロレンズを使うにあたっての経緯」という内部事情に切り込んだ質問が飛んでいた。巨大な組織が新しいテクノロジーを導入する過程は確かに興味深いと言えるが、その流れは簡単に言えるほど単純なものではなさそうだ。

藤井氏は「SRにおいて、実際に話してる音と録音してる音の差異を並列にするための技術とは?」という質問に対し「SRではリアルさよりその実態に差異がなければそれでいい」という意外(斬新)な答えで会場を沸かせていた。

杉本氏には「医療VR技術の発展において、保険を通すことが一番広まる近道ではないのだろうか?」と、他の外科医からの提案があったが、これについては杉本氏は必要ないという回答に留めていた。医療VRの進歩・発展は皆望むところだろうが、その為には様々な方法論がありそうである。

もっと加速するために必要なもの

また、三人への共通質問として「AR・VRには、これからどんな未来が待っていると思いますか?それが、もっと加速するために必要なものは?」というものが挙がった。

ヴィクター氏「次の大きな波は『スナップショット』。つまりSNSで使用できるものになるか否かが分かれ目。現状はVRもARユーザーフレンドリーではない。母や祖母が楽に使えるようなものが伴えば広がっていくだろう

藤井氏「AR・VRという言葉はなくなっていくだろう。スマホがひと昔の前スーパーコンピューター以上の性能を持っていても、自然に一般に受け入れられているように、当たり前の技術として日常に埋まっていくのではないか。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)も必要なくなる。どんどん現実だろうが仮想空間だろうが、それが現実に地続きになっていくだろう

杉本氏「たとえば、仮想的にもうひとつ目が増えたり、脚が増えたり……そういったエクステンションが大きなカギとなるのではないか。現に、義足を使っている人は走るのが速くなるというデータがあるが、これは義足による作用ではなくもう片方の足が急激に発達するから。つまり、人間が新たな進化していく可能性がある。また、デバイスが必要なくなる可能性も高い

いずれも興味深くより詳しく聞きたい話ではないだろうか。

VRが人類の行先を明るく照らす

現在のVRやARでさえ、昔マンガや映画の中で描かれていたような世界の実現だ。しかし、最新テクノロジーを追求する技術者たちは、さらにまだ未来を見ている。VRやARが人類の行先を明るく照らしていることを実感できるセッションだった。

簡易型アンドロイド「テレノイド」

会場の外にはいくつか展示があったので体験させてもらった。まずはこの「テレノイド」。いわゆる簡易型のアンドロイドだという。インターネットを通じた会話の中で、アンドロイドを通して話している相手の顔を思い浮かべられるという一種のインターフェースである。

「男性とも女性とも、子供とも大人とも見えるニュートラルなデザイン」だからこそ、特定のイメージの押し付けがないため、会話の相手を用意に思い描けるのだという。重さはちょうど新生児ほどで、服装も赤ちゃんぽいためかこれを通じて成人男性の声が届いた時はちょっとビビった。相手によって服装を変えさせられるといいのかもしれない。

狭くても撮影可能な「Dolly360」

こちらはラジコン型の360度撮影機「Dolly360」。ドローンの苦手とする狭場所での移動やスロースピードでの撮影に最適だという。

ちなみに、カメラ自体は別途取り付けとなる。今までなかなか実現できなかった歩きながらの360度撮影が可能とあって、今後のVR映像に大きな変化をもたらしてくれそうだ。

ストレス発散コンテンツも!?

こちらは、仮想現実空間でのショッピングを体験できるVRコンテンツ。ショールームのような部屋の中で、食器やインテリアを手に取りそれを購入できるという。発売は未定のようだが、将来的にかなり便利な代物となるに違いない。

いや、これがショッピングの常識になる日も近いだろう。

そして、なぜか重いオブジェなどを放り投げられる機能が搭載されていた。なぜ投げられるのか(笑)。割ることができる機能も追加してくれれば、ストレス発散コンテンツとしても有効となる可能性が……。

今後のVRの使命とは

このイベントを通じて、VRやARの活躍がエンタメ方面に留まらないことを実感した。もっと広い視野で世界を変えていく……それこそが、今後のVRやARの使命に違いない。これらの技術が、日常の中で当たり前になる時代が、早く来ますように。

(image by 筆者)