近年では、VRと音楽の融合が話題になっています。五感を使って音楽を楽しむ新しい鑑賞スタイルといえます。たとえば、昨年では360度にVR映像を取り入れたミュージックビデオをbjörkが発表。VRと音楽の距離はしだいに近くなりつつあります。

しかし、今から20年前の1990年代に、VRを用いたミュージックビデオはすでに存在していたのです。

そのミュージックビデオのひとつが『Still Life』とよばれるもの。とてもシュールで、驚くほど素晴らしい仕上がりとなっています。

世界最大のCGの祭典で発表

『Still Life』はミュージックビジュアライザーのデモとして、1996年に行われたSIGGRAPH(シーグラフ)で展示されました。

SIGGRAPHとは、CGの祭典。そこでは、多くの分野における世界最新鋭のCG技術を知ることができます。

作品が醸し出す不思議な世界の虜に

『Still Life』は2人で楽しむVR。1人が用意されたドラムキットを叩き、そしてもう1人はヘッドセットをつけてVRを体験します。

動画の序盤では、骸骨やボトル、ヴァイオリン、そして本が台の上に置かれています。一見、静止画のように思えます。しかし、叩かれたドラムの音に反応して、回転したり、宙を浮いたりとそれらの物体が動きはじめるのです。不気味でぎこちない雰囲気が漂っていますが、じっと見つづけたくなります。

なお、この『Still Life』の製作者はVRのパイオニアであるMark Bolas。Fakespaceとよばれる90年代の主流のVRプレイヤーを使用しています。

VRの未来を示した

現代では、VRは体験する人たちに驚きを与えてくれる技術。ですから、20年前の人たちにとっての『Still Life』は、この世のものとは思えないくらい難解な作品だったことでしょう。まるで前衛芸術のようです。

1996年に発表された『Still Life』は現代のVRを先取りして、未来のVRの姿を見せてくれていたのです。

(image by YouTube)